今、塾としてやるべきこと

当たり前の話、この時期、どこの塾も「春の新入塾生募集」に力を入れている。

 

この時期は新規生の募集に力を入れることももちろん大切だ。しかし、目の前のお客様を最も大切にしなければいけない、というのが最優先だ。小学生は、次学年に向けての準備。中学生はテスト結果が思わしくなかった者へのフォローや叱咤激励。3月から始まる高校生の定期テスト対策、受験生をリラックスさせる休み時間のトーク、毎日の授業の予習etc.

 

しかし、当塾の講師は器用に色んなことをこなせない。目の前の事にしか取り組めない。良くも悪くも不器用で愚直な昔気質の職人気質が抜けないからである。だから、本質で塾を選んでいただいているお客様との信頼関係は確固たるものである。

 

そして新たに、ご紹介による入塾の問い合わせがちらほら。入塾の説明に来ていただいた方には、真摯に対応させていただいている。絶対に嘘はつかない。先日は、当塾の英語の指導法を少しだけお伝えした。恐らく、他では聞いたことがないであろう話をさせていただいた。(内容は塾生のみが知り得ることなので、ここでは書けません)

 

よく、当塾のことを「厳しい=スパルタ」だと評する声を聞くことがある。

厳しさの本当の意味を知らない方はそう解釈する。厳しさの中には「優しさ」「面白さ」「興味深さ」全ての要素が盛り込まれている。そこが「甘さ」との決定的な違いだ。

 

新規の方も、5分授業を受けてもらえれば、「授業そのものがシアター」だということを体感してもらえるだろうし、当塾は、チョーク数本と黒板さえあればそれで充分だから映像授業もタブレット学習も一切必要ない。

 

※最近、古いお付き合いのある保護者の方々からよく「若返りましたね」とか「今の先生には爽やかさがあっていいと思います」というお言葉を頂戴するようになりました。専属のスタイリストのおかげです。

品質重視主義は実を結ぶ

中学生のテストが続々と返却されてきた。前回のテストでは理科の点数が極度に凹んでいる生徒が多かったため、徹底的に理科を強化した。大幅なテコ入れを行い、過去の授業プランも全て見直した。

 

お客様には、もうこれ以上は無理と言っても過言で無いくらい、最高の品質の授業を提供させていただいた。どうも理科に対して嫌悪感を抱いてしまっている節があったので、「分かりやすく・楽しく」を追求した。毎回、授業の度に大爆笑が起こる。そして、彼らにも、こちらの言霊がしっかりと伝わったようだ。

 

昨日の段階で、理科だけで33点アップ・27点アップ・26点アップ者が出た。学校の学年平均が前回よりも10点程下がっているのにも関わらずだ。更に、他の科目も塾生平均は大体学校の平均+20~30点程ある。

 

私が賛美したいのは、「行為の価値」が素晴らしいということだ。恐らく、もとから出来の良い生徒から見れば、彼らの点数など普通に勉強していれば、少しの努力で獲ることは可能だろう。

 

ただ「こんな塾」にそんな生徒は一人もいない。今回は、今までをはるかに凌駕するほど生徒と「泥臭く」関わり、ありとあらゆることに口を出した。生徒の一挙手一投足を観察した。彼らのやる気とこちらの本気の授業が融合した結果だと思っている。

 

当塾の生徒対応は、ウイスキー作りにも通ずる部分があると言える。

本場スコットランドにも負けない最高の香りを放つ「原酒」が熟成されつつある。

 

そして…つい先日、出荷可能な生徒が現れた。入塾時、中学校の定期テストの英語が40点台だったある高校生が、センター模試で85%という高得点を叩き出したのである。

 

まだまだ決して気を抜けるような状況ではないが、とことん授業にこだわり続けた結果、当塾の品質重視主義が少しずつ花開こうとしている。

どこまでも素直な生徒たち

ようやく各中学校の学年末テストも終わり、次は高校生の学年末テスト・中3生の高校受験に向けて最後のひと踏ん張り。

 

ある中学のテストの前日に、「明日の塾は何時から空いてますか?」と聞きに来る中2生徒Y。期末テストが二日間あるので、一日目は学校が早く終わるため、勉強しに来たいらしい。

 

「塾の前の公園で待ってて。人数集まったらドロケイ(ケイドロ)をやろう。勉強ばっかしてたらダメだ。14時に公園に集合」と言い残してその日は別れた。※私の地元の名古屋では「ドロジュン(泥棒と巡査の意)」と呼んでいた※

 

翌日、本当に公園に十余名の中2男女が集まって来ていた。他に利用している方がいたので、迷惑になるといけないので、取りやめにしたが、本当に集まって来るとは思わなかった…

 

その後塾に移動して自習。

ところが、自習室終了の1時間前になって「そういえば、明日の数学のテストなんですけど、コンパスを持って来いと言われました」と突然カミングアウトする生徒HとT。

「なんでそんな大事なことを黙ってたんだ、このバカ」と言い放ち、速攻でその場所の授業を急きょ組み込んだ。帰宅した生徒には解説を添付したプリントを私が退社する際に各自の家のポストに投函。

 

あげくのはてには、結局その箇所は本番のテストには出題されなかったというオチもついた。

 

このフットワークの軽さこそが当塾の魅力の一つでもあると自負している。

勉強の得意・不得意に関わらず、やる気と素直ささえ持っていてくれさえば、「どれだけでもお客様のわがままは聞き入れる」というのが当塾の方針だ。学年を問わず、テスト前のこのバタバタした空気を講師も生徒も楽しんでいる。

 

だから、これからもどんどんわがままを言ってもらいたいと思う。

どの教科のどの単元でも即興で授業してみせましょう。

例外は作らない

2015 0208丹羽

6年前の中3生にある生徒がいた。(Nとしておく)

Nは能動的で、特に苦手の理数系の質問は、毎日必ず持って来た。

高校受験が近づいた最後の模試の前日にも塾に最後まで居残り、ひとしきり質問をして帰って行った。

 

翌日、自己採点をさせたら、理科が50点にも満たない点数であった。不安で涙声になるNをきつく叱った。

「君は質問を持って来る時、いつも友達と一緒だ。そんな馴れ合いの関係を続けていたら、間違いなく落ちるぞ」

 

そこで一つ、約束をした。

 

「何があっても例外は絶対に作らないこと」

 

受験まで、土日は8時~23時までの自習を義務付け、保護者様の許可をいただいた上で、多少の体調不良でも頑張ってもらった。その結果、無事に県内2番目の進学校に合格した。写真は、合格した後に黒板にされた落書きだ。

 

そして、大学に合格したNはアルバイトとして当塾に戻って来た。

色眼鏡無しに見ても、とにかく仕事ができる。私の社会人一年目よりもはるかに優秀だ。指示したことは的確にこなし、言われなくても雑務をこなしてくれる。きっと企業からも必要とされる有能な人材と成り得ることと思う。「ここで高校生の時に授業を受けたかったです。もっと早く前の会社辞めてたら良かったですね」と冗談を言って帰る後ろ姿を見て、言霊は伝わるということを改めて認識した、そんな一日だった。

 

結果を出そうと思ったら、例外を作ってはいけない。1回でも例外を作るとそれが普通になってしまう。当塾の中学生で290点を440点にした生徒、230点を360点にした生徒、260点を430点にした生徒。入塾当初、挨拶もできなかった高校生が学内1ケタ順位を獲り続けているのには共通点がある。

 

それは、例外を作らず、当塾を信じてくれたこと。この1点につきる。

 

上の学年の影響も受けて、最近では小5の生徒まで自習にやって来る。

 

塾全体が活気に満ちている「非日常空間」とも言えるこの雰囲気がたまらなく良い。

 

※余談ではあるが、体型維持のため、1年程前から腕立て伏せを週3~4のペースで100~150回(25回×4~6セット)やっている。例外を作らずにやり続けた結果、着られなくなったYシャツが3枚。ブロイラーのような大胸筋になってしまった。この間、最もガタイの良い高1生と何回できるか対決をしたが、楽勝だった。

 

この4年の変化

TS3V0189

今日から本格的に中1・2生の期末テスト対策が始まった。

それが終わると今度は高校生の学年末、中3生の高校入試、息つく間もなく日々か過ぎていく。毎年のことだが…

 

ふと、玄関に目をやって驚いた。特に指示をしたわけでもないのに、下駄箱に入りきらなかった生徒の靴がしっかりと並べられている。もちろん、生徒たちが各自でやったことだが、感慨深いものを覚えた。

 

思えば、開校した当初の小学生はひどいものだった。

塾内でお菓子を食べようとする、食べ物のゴミを捨てようとする、階段を四つん這いになって登る、リュックはチャックが空いた状態でやって来るetc.

 

最初の数か月は常に授業の冒頭は「諭し」から始まった。前職時代は、一つの校舎に講師が複数名在籍していたので、「叱る人」「フォローする人」「楽しませる人」など、きっちり役割分担が可能だった。

ところが、この規模の塾だとそうはいかない。全ての役目を一人で担わなければいけない。

 

ある時は「生徒を頭ごなしに叱りつけるヒステリックな講師」ある時は「最高に分かりやすい授業をする講師」また「親身にお客様の相談に応えるカウンセラー」さらには「精神年齢が小学生並みのアラフォー」一人で何役も使い分けた。

この4年の間で自分自身も成長できたと思うし、授業もさらに洗練されている。今日の中2の理科の授業も大盛況だった。昨日の高2の英語も十分理論的に大学入試の過去問を解説できたと自負している。これは自惚れではなくて確信だ。なぜなら、生徒以上にこちらが一コマの授業に対して、「失敗したら明日は一人も生徒が来なくなるかも知れない」という想いで臨んでいるからだ。そのための努力は、前職時代の比ではない。

 

先に述べた「人並み以上に手のかかる生徒たち」も今や中3生。そんな彼らが今や、「僕は高校に進学した後、○○大学に行きたいです」と自信を持って答えてくれたりする。

 

この4年に渡る生徒とのやりとりも決して無駄では無かったと改めて思った。講師の立場からすると、ここでしか味わえなかった感覚だ。

 

生徒の成長は大人が望むようなスピードでは進んでいかない。こちらの思い通りにいくと思ったらそれは思慮が浅いと言わざるを得ない。たとえ他者が諦めても、当塾の講師は諦めない。今の自分を何とか変えたい、と望む者であれば、今の勉強の出来などどうでもいい。

 

全力でサポートしていく。