カバンの中身が人間性

私の友人は四大卒が圧倒的に多く、子どもの年齢も大体小学生くらいである。仲間内で集まって、塾の話をすると、都市部で暮らしている友人からは、「え、そんなことまで塾がするの!?」「23時まで生徒がいるの?」「それでその月謝は安すぎじゃない」と驚かれる。このことからもわかるように、我々の時代の受験生と今の生徒ではまるで質が異なる。もちろん、ごく一部は誰から言われることもなく、放っておいても上手に周りの環境を利用して、良い成績をとる。

 

ただ、当塾にはそんな生徒は一人もいない。

したがって、どこまで塾が口を挟むか、は非常に大切な問題である。

 

昨日と今日で、中学生の「カバンの中身チェック」行った。授業開始前、生徒が着席した時に、講師が指示したものが机の上にすぐに置けるかどうかのテストだ。

「英語の本文プリント」「理科の塾用ノート」「数学の前回の授業プリント」など、指示を与えると、面白い現象が起きる。大半の生徒はしっかりと管理ができているが、中には、あわててカバンを整理してきたような生徒もいる。典型的な例として、プリントがきれいに二つ折りできていない。とりあえずクリアファイルに突っ込んできただけ。要るものと要らないものの仕分けができていない。科目もバラバラetc.この手の生徒に多いのが、「塾でだけ良い子」を演じるということだ。

 

人によって態度を変える、というずる賢い処世術を中学生のうちから身に付けてもらっては困る。塾でちゃんとできない者は、学校でもちゃんとできない。それで成績を上げて欲しいと言うこと自体ピントがズレている。間違いなく、どこの塾へ行っても成功しない。プリント1枚にしても紙代とコピー代というコストがかかっている。

 

当面の間、彼らは徹底管理することにした。

 

今はどこの塾でも「春の生徒募集」に向けて必死だ。私も、大手塾にいた時代は、春だけで50名以上もの生徒が入塾したこともあり、何度も表彰を受けた。ただ今は違う。看板も何もない。一気に何十人も生徒が入ってくることもない。その分、今いるお客様に最大限の自己犠牲を払ってサーヴィスを提供させていただきたいと思う。

 

だから、「やる気のある生徒にとって居心地のいい空間」にしていきたい。やる気の無いものに開かれる便利な自動ドアはどこにも存在しない。