なぜか講師に指導する生徒たち

小4~高3までが同じ校舎に集う当塾。同じ講師が同じ生徒を最長9年指導する。

 

 

ということは、開校当初の小学生はもう高校生になっている。

ABCもろくに書けなかった生徒が名詞構文をスラスラ訳すようになるのを、一番近い距離でずっと見てきた。

小6時、挨拶すら出来なかった生徒が、今や第一志望は旧帝大。数Ⅲの問題をスラスラを解いているのを見るだけで、純粋に「すごいな」と思う。

 

今、小学生の授業を行っている夕方の時間帯は、学校帰りの中高校生たちが自習室に集まり始める。

 

そして、小学生の授業光景を見ながらいつもニヤニヤしている。

 

同業者の方ならお分かりいただけると思うが、この仕事は、時として「役者」にならなければならない。

こんな自分でもプロの端くれなので、生徒対応は臨機応変にしている。

さすがに小学生に、受験期の高3生や中3生のような物言いはしないし、他の学年の生徒を咎める時のような口調では話さない。完全に塾に染まってもらうまでは、そんなにキツいことも言うつもりもない。言葉は慎重に選んでいる(つもりだ)。

 

当塾の現役の塾生(特に高校生)や現在大学生の卒塾生は、講師を見る目が肥えている。

だから、「今日も先生、頑張って引きつった笑顔で生徒に優しくしてるな」ということが分かってしまうようだ。どうもそれが面白いらしい。

 

最近では、偉そうに上から目線の「アドバイスをしてくる生徒」もいる。

「先生、もうそろそろ注意をした方がいいと思います」

「将来のために、もっと厳しくした方が…」

「僕たちが小学生の頃より優しすぎませんか?」

 

そもそもこれを言ってくる連中の方がもっと酷かった。思い出すだけでもゾッとする。

塾内で柿の種を食い散らかす、駄菓子のゴミを捨てようとする、配布したプリントは全て無くす、挙げればきりがない。

そんな彼らが今や高校で学年順位1ケタ。見ていて本当に嬉しくなるし、ずっと塾を信じてくれたことへの感謝の気持ちしかない。

 

素直でさえあれば誰でも、5年後には今の高校生の塾生のようになれるはず。