新規生たちの変化

ウチはこんな塾です。元の出来の良い生徒など一人もいない。

歯医者さんで例えるならば、虫歯でボロボロの状態でやって来る生徒ばかり(褒め言葉です)

まずは、歯間ブラシの使い方・フロスの仕方・歯の磨き方など、患者教育から始める。

 

確かに、一度や二度の無料体験で「面白おかしく」「分かった気にさせる授業」をすれば、一時的な治療はできるかも知れないが、いずれ元にもどる。

 

だから、当塾は無料体験の期間は短くても1か月としている。基本的な姿勢を身に付けようと思ったらそれでも足りないくらいだ。

 

この春入塾した生徒にまつわるエピソードを1つだけお話ししたい。

その生徒は、授業中に「ペン回し」をする癖があった。それ以外は素直だったので、正式な入塾を認める運びになった。正式な塾生として迎えた初日に、「1か月以内に、その癖を直して欲しい」とお願いした。いきなり新規の塾生に怒鳴りつけるなどということはしない。勉強以外のところに治療の必要性があれば、遠慮なく口を挟んでいく。生徒は言いつけをしっかりと守り、今では宿題の直しを始め、自ら進んで質問に来るばかりが、自由英作文の添削までこちらに要請してくれるようになった。

 

ここまで来るのに3か月要した。

 

先日、入塾してから2回定期テストを終えたが、5科目で80点程アップしている。ただ、普段の素直で真面目な様子から推察すると、さらに50点の上乗せは可能だと思う。

 

中学生は前期の期末テストが終了した。

まだ未返却の生徒がいるため完全なAverageは算出していないが、塾生平均は400点は確実に超えているのでこちらとしても一安心…

 

当塾は、「特効薬」はお出しできない。だから、「伝わる人にだけ伝わればいい」と思っています。

 

※追記…この夏に入塾してきた生徒たちもほんの少しずつだが変化が見られてきた。自分から宿題を見せにくるようになったり、表情が生き生きしてきたり…そんなささいなことが毎日積み重なってやがて大きな成功体験になっていく。

鍛えあげられた者たちのその後

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「叱られる」ということに対して免疫ができている生徒、そして拗ねたりせずに、素直にそれを受け止めてくれる生徒ほど就職活動でも成功する。

 

月曜日、前職時代の教え子(社会人1年目)とランチに行ってきた。(以下A)

苦労をかけられた生徒ほど印象深いもの。

 

Aとは小6の終わりからの付き合いで、ちっとも成績は伸びず、中3になっても遊んでばかり。学校にもまともに行かず、当時指導していた中3生(約60名)の中でも成績は下から2番目。

 

模擬試験の結果も5科目合計で200点未満。普通科の公立高校はまず無理だと思っていた。やる気が無く、いつもヘラヘラ笑っていたので、中3の10月のある日、これでもかというくらい叱って泣かせた。生徒対応にマニュアルなど無い。ズルをする生徒や言うことを聞かない生徒、態度の悪い生徒は絶対に許さない。「ズルした先にはドブしか待ってない」と言ったことは良く覚えている。

 

その後、Aに、休日は朝7時~夜11時まで塾に来て自習することを義務付けた。姿勢や態度も激変し、徐々に点数は伸び、公立高校の普通科に合格した。

 

スポーツに限らず、勉強でも何でも、一つのことに真剣に取り組む人間は、外見も中身も全て変わる。そして「目に見えない財産」が残る。

 

Aの高校合格と同時に、私も前職を辞することになったが、その時に「今手に入れたものを無駄にしないようにするためにも、高校へ行ってからも頑張ります!!」とメッセージをもらったことを思い出す。

 

その後、Aは高校でも非常に真面目に頑張り、特待生として学費は全額免除で進学。そして、とんとん拍子で就職。挨拶の仕方、敬語の使い方、立ち居振る舞い、何もかもが8年前とは見違えるようになっていた。

 

今の仕事が充実していて、プライベートもいい感じだということは表情から分かる。

色々と大人の会話ができて本当に楽しい時間を過ごすことができた。

 

本当におめでとう、心の底から嬉しいです。またいつでも遊びに来てくださいね。

夏期講習中の嬉しかったこと③

当塾には◯つけや補習のサポートとして複数名のアルバイトがいる。彼らは全員が前職時代の私の教え子で、水野という講師の人間性も熟知している。

勿論、黒板を使っての授業はさせない。我々プロ講師にとって黒板はいわば「聖域」なので、中途半端な授業力しか持たぬ者にチョークは握らせたくないからだ。

 

彼らが、アルバイトとして当塾に入る時に、一つだけ約束してもらったことがある。それは「この塾の他に何でもいいからサーヴィス業(できれば飲食店)でアルバイトをすること」だ。色々な人と関わりを持ち、コミュニケーションスキルを磨いてもらいたい、ということと外界の世界の大変さを体験して欲しかったからだ。

 

この職に携わる人間は(勿論、全員がそうではないので悪しからず)、勘違いしやすい。生徒や保護者の方から「先生」と呼ばれ、「自分はすごい人間なんだ、成績が上がったのは自分のおかげだ」と錯覚をおこしてしまう。以前関わりを持った大切な教え子には、そういった誤った感覚を持ってもらいたくない。

 

彼らは、ホテルやマンガ喫茶、居酒屋などでバイトをしているが、やはり塾講師しか経験していない者との差は歴然としている。指示したことは的確にこなし、生徒に対する気配りもできる。誤解を恐れずに言うならば、中途半端な新卒のホワイトカラーよりもよっぽど優秀であると思う。

 

前回、中学生のテスト対策のサポートで3人に来てもらったが、何一つ無駄な動きがない。紛れもなく、もう一つのバイトでのご指導の賜物であると確信している。一生懸命に教室を動き回り、生徒の答案の◯付けをしている姿と見ていると、彼らが小中学生だった頃のことを思い出す。3人とも何がしらで激しく叱ったこともあれば、泣かせたこともある。深夜までの自習を強要したこともある。

 

にも関わらず、何年も経ってまたこういった形で関わることができて本当に嬉しく思う。

 

余談だが、鍛え上げられた教え子たちは就職活動でもしっかりと結果を出している。

 

今年も早々と内定をいただいた子がいるので、近いうちにお祝いをしたいと思っている。

夏期講習中の嬉しかったこと②

中学生は、夏休みが終わってすぐに、前期期末テストが控えていた。

結果を出すことのできている当塾の塾生はいい意味で「厚かましい」。

最近では、指定された課題をこなした生徒たちが、「もう一回り勉強したいのでプリントをもらってもいいですか?」と申し出をしてきてくれるようにさえなっている。

 

そして休み時間には、友達どうしで問題の出し合いっこをする生徒もちらほら…

 

また別の生徒は質問攻めにしてくれる。

 

彼らの入塾当初の様子からは想像もできない程の成長だと思う。

 

重視しているのは、質問にせよ、プリントの申請にせよ、他人の大人と話す機会である。

なぜなら言葉を磨く機会になるからだ。大人が相手なら多少は考えて話す。そして、多少は言葉を選んで話すことにもなる。さらに、その生徒の育ってきた環境もすぐに把握できるし、ひいてはそのやりとりで成績も大体は分かる。そういう意味では塾の先生と話すのは貴重な機会だ。

 

塾講師は「消耗品」だと思ってもらって構わない。言うなれば、「雑巾」のように扱ってくれた方が嬉しい。入試の直前にボロボロになるくらいまで使い古してくれた生徒とは、今日でも良好な関係が築くことができている。その生徒たちが数年後にどんな姿になっているかは後日記載することにする。

夏期講習中の嬉しかったこと①

他ではあまり見られない光景かもしれないが、当塾は一度退塾した生徒が戻って来る。夏期講習が始まって数日が経ったある日、こんなことがあった。

 

校舎の電話が鳴り、受話器を取ると、「もしもし、水野先生ですか?」と生徒らしき声が聞こえた。相手は以前、通塾してくれていた生徒だった。電話の後ろが騒々しかったので、どこから電話しているのかと聞くと、「携帯の電池が切れたので、公衆電話からです」との返答。続けて「あれから色々考えたのですが、やはり水野先生のところへ戻りたいです」と思いもよらないことを言われた。実はこの案件は1件目ではない。以前通塾してくれていた生徒が、「やっぱりここが一番です」と言って戻ってきてくれたケースが過去にもある。

 

そういう生徒には、何もかも犠牲にして尽くしたくなってくる。

 

「卒業してからここの良さが分かってくれればそれでいいから」というのは常に生徒に言い聞かせてきた。当塾は大手同業他社とは違い、爆発的には生徒の人数は増えないし、こちらもそれを望まない。今通ってくれているお客様に最大限のサーヴィスをすることだけを今後も心がけていきたい。